急速進行性糸球体腎炎・尿と病気

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急速進行性糸球体腎炎


急速進行性糸球体腎炎/尿と病気


     
§1  急速進行性糸球体腎炎とは/急速進行性糸球体腎炎/尿と病気


      
急速進行性糸球体腎炎は臨床症候を示す病名す。半月体形成性腎炎(異常増殖した細胞の断面が半月や

      三日月型に見える/病理組織学的病名)としばしば混同されています。発症後数週間〜数ヶ月で腎機能が著

      しい低下傾向を示し、末期の腎不全に至る厳しい病気です。 しかし、急速進行性糸球体症候群と称される症

      候では、全てに半月体を認めるわけでは有りません。小児から大人まで、また性差も無く広範囲に発症する、

      近年、中高年に増加している疾患です。細胞が半月体に固められてしまうと、正常な状態に戻れなくなります。

      急速進行性糸球体腎炎は腎臓だけが障害されるもの、全身性の疾患に伴なうもの、 感染症の後で発症する

      もの、薬物によるものなどがあります。急速進行性糸球体腎炎は6ヶ月の腎生存率は70%で30%は透析

      導入する状況になっております。








     
§2  急速進行性糸球体腎炎の症状/急速進行性糸球体腎炎/尿と病気



発症の初期は
尿量が減ったり、血尿

蛋白尿が確認され、進行すると貧血や

食欲不振、だるさ、 関節痛なども症状

が確認される事もあります。
急速進行

性糸球体腎炎症候群
は、 数週から数

ヶ月で 急速に進行する 腎不全を認め

る。
蛋白尿血尿 (多くは顕微鏡的血

尿)・顆粒円柱・赤血球円柱などの腎炎

を示す尿所見。 正球性正色素性の貧

血。 超音波検査で腎臓の腫大を認め。

腎不全が 高度になると、
乏尿、 浮腫、

全身倦怠感、 食欲低下などの 尿毒症

の症状も出現します。


(但し、半月体形成性腎炎初期は、尿毒症の症状は認められず、腎臓以外に臓器障害による症状のみが

認められる事も多いので、極めて注意をする必要があります。)






     
§3  急速進行性糸球体腎炎の原因/急速進行性糸球体腎炎/尿と病気


       抗糸球体基底膜抗体や抗体と抗原が結合した免疫複合体が、糸球体の基底膜(糸球体のろ過を行う部位)

       に沈着する事により腎機能低下を起こします。(免疫複合体は上図を御参考にご覧下さい)


       
抗糸球体基底膜抗体腎炎(1型);自身の基底膜(毛細血管)の蛋白質を異物(抗原)と見なして、自己抗体を

       つくるため、自分の身体の基底膜に対する自己免疫反応を起こして、結果、半月体の形成を促進してしまう事

       になります。


       
免疫複合体型腎炎(2型);溶連菌の感染後に急性腎炎IgA腎症膜性増殖性糸球体腎炎などに関連して起

       こるものとされ、最近感染に対応する免疫反応で発生した免疫複合体が糸球体に沈着し、半月体を形成してし

       まう。(免疫複合体は上図を御参考にご覧下さい)


       
免疫グロブリン陰性型腎炎(3型);白血球中の好中球に対応する抗体(抗好中球細胞質抗体/ANCA)がある

       人に多い。





     
§4  急速進行性糸球体腎炎の検査/急速進行性糸球体腎炎/尿と病気


       尿検査、血液検査(血清クレアチニンの急速上昇、赤沈亢進、CRP陽性、白血球増加、血小板増加、血清M

       PO−ANCA増加、血清PR-3-ANCA増加)腎生検(半月体の有無を確認)などで1〜3型の何れのタイプか

       を確認します。 タイプに合わせた治療法があるため、早期に特定し、進行が速いので、一刻も早く治療にかか

       らなければなりません。 その他、血尿、蛋白尿、赤血球円柱、顆粒円柱の確認をします。 腎生検では糸球体

       の周りに半月体が認められます。 貧血を確認する事や、グッドパスチャー症候群では喀血を伴なう事もありま

       す。





     
§5  急速進行性糸球体腎炎の治療/急速進行性糸球体腎炎/尿と病気


       進行が急速な急速進行性糸球体腎炎は、治療を極力早期に開始しなければなりません。遅れますと腎機能

       は低下し、末期の腎不全に至ってしまう可能性もあります。カクテル療法は急性期(激しい症状が出現する)

       に、集中的に多くの薬剤を用いて治療する方法です。治療は安静を保ちながら実施されます。免疫反応の異

       常や炎症を抑えるために、副腎皮質ホルモン、免疫抑制剤(シクロスポリン・アザチオプリンなど/日和見感染

       に注意する必要があります。)を用います。 これを大量に投与する療法がパルス療法(ステロイド/コハク酸メ

       チルプレドニゾロンナトリウムなど)です。 抗凝固療法 (ワーファリンカリウムなど)を行うこともあります。これ

       は重大な副作用も考えられるため、療法は慎重に選択されなければなりません。 3型の場合、自己抗体が体

       内に留まり続けると糸球体の炎症が亢進してしまうため、この抗体を取り除く血漿交換療法が選択される場合

       があります。治療中は免疫抑制剤などを使用しますので、感染症対策(医療機関側、患者側、付き添い、見舞

       いなど)が重要になります。 肺炎や扁桃炎、腎盂腎炎などの感染症に掛かりますと、合併症を招き、重篤な状

       態に陥る可能性があります。 完治する事は有りません。 急速進行性糸球体腎炎を引き起こす原因疾患には、

       全身性エリテマトーデス、グッドパスチャー症候群、紫斑病性腎炎、血管炎、ウェゲナー肉芽腫チャウグ・シュ

       トラウス症候群クリオグロブリン血症などがあります。


     














     
* 抗好中球細胞質抗体(ANCA);血液中の好中球の細胞質に対してつくられる抗体で、この抗体がつくられる

     事により、好中球が活性化され、糸球体の毛細血管を攻撃する。攻撃された毛細血管は炎症を起こし、腎炎を

     発症してしまいます。これは腎臓に限らず、全身の血管で様々な病変を惹起します。(ANCAがつくられる原因

     疾患として、結節性多発性動脈炎、顕微鏡的多発動脈炎、ウェゲナー肉芽腫などが指摘されております。)


     
* グッドパスチャー症候群;腎臓の糸球体基底膜に対する抗体ができてしまい、腎臓や肺を障害してしまう疾患


     
* ウェゲナー肉芽腫症;上気道や肺などの血管に炎症が起こったり、肉芽が出来る疾患。腎臓の血管に炎症が

     及ぶと腎炎を惹起します。


     
* チャウグ・シュトラウス症候群;アレルギーの関係した肉芽腫性の血管炎


     
* クリオグロブリン血症;クリオグロブリン(ゲル状グロブリン)が血中に出来る疾患。全身性エリテマトーデス、関

     節リウマチ、糸球体腎炎など多くの原因疾患があります。












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